若者がうけ入れてくれた


 去る2月、日本青年奉仕協会全国ボランティア研究集会四国高知集会にゲストとして「土佐源氏」を演じました。
 終演後の夕食会の席に松山からきたという料理人修行中の十六歳の少年と通信制高校に通う十八歳の少女が「土佐源氏」をみた感動を涙を流しながら語ってくれました。彼女は「土佐源氏」の登場からもう泣けてしまった。〃うまくいえないけど、なにか……においが……〃というのです。
 ぼくは若い人がうけいれてくれたことがすごくうれしくて、2人の若者とばかり話をしていました。彼女は今カメラに凝っていてぼくを撮りまくっていました。少年は自分でつくった黒豆の煮物(参加者に配るために4日がかりで作ったもの)を瓶ごとくれました。後日ぼくはお礼に写真集「気」を2人におくりました。
 先日十八歳の理恵ちゃんからお手紙をもらいました。……『切ったら血が噴き出すような生々しさや、におい、息づかい、そしてせつなさの中にあるあたたかさ、いろいろな気持ちが蘇ってきました。大切にします』
 同じく2月、鳥取県東伯町立文化センターでの「土佐源氏」のときの部落解放文化祭からもお手紙をいっただきました。
『坂本さんの肉声肉感を持った一人芝居「土佐源氏」、盲目という主人公……その人間性……暖かさ……誇り等しっかり伝わってまいりました。寿大学の高齢者の皆さんも「ほんによかったわー」と口々に感動しておりました。地元の女性達のお汁粉サービスと共にいつまでも心に残ると思います。お陰様にて部落解放、人間解放の熱き思いを発信することが出来ました。素敵な感動体験、交流の場となりましたことを重ねてお礼申し上げます。今後とも全国に感動をお伝え下さいますように、ほんとうにありがとうございました。』
 役者冥利につきる、というのはこのことをいうのでありましょう。
 演劇とは何ですか?といつも自分が自分に問うのですが……。理想を云えばキリがない。いろいろな演劇論はある。むつかしい。だが確かにいえることは、観る人の心を動かし、ゆさぶり、今日は本当によかったと喜んで帰ってもらう。
 観る側も演ずる側もお互いにカタルシスをわけ合えるような深い感動を味わえてこそ、それが芝居というものの根っこであろうと、ぼくは思っています。

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